いまさらですが、私は映画が好きです。が、映画そのものよりも、「映画館で映画を観る」という行為が好きなんです。
だからといって、「映画は映画館で観るものだ」とか、「テレビで見るなんて邪道だ」なんて考えはありません。
別にテレビでもDVDでも、いい映画は確かにいいし、小さな画面でも、監督が持つその映画のリズムや空気感といった、無形なものも感じ取る事は出来るので、良い映画なら、DVDでも是非観てくださいと薦めますし、共感していただければ、全く問題はないと思っています。
私が映画館で見逃して、やっとDVDで見る事が出来た作品だったとしても、先に映画館で観た人に対して負い目みたいなものを感じる事もありません。その作品を享受出来て楽しめれば、媒体は関係ないと思っています。
ただ、私は「映画館という場所」そのものが好きなんですね。シネコンで映画を観る事に対して、なんら抵抗はありませんが、出来るなら独立した映画館で観たいとは思います。
だからといって、某映画館のように、画面が暗すぎて、登場人物の高校生たちが暗い体育館にいるシーンで、誰がどこにいるのかもわからないような、映写状態の映画館は、言語道断だとは思います。封切初日に行って、そんな状態で映画を見せられてしまうと悲しくなります。こんなことなら、シネコンで観れば良かったと後悔します。シネコンでは、どのスクリーンで観ても、ここまで映写状態に差がある経験は、した事がないですから・・・。
話はそれましたが、映画館が好きなのは、それぞれの映画館の雰囲気に個性があって、上映される映画と映画館が一体となって醸し出される独特の魅力が、映画をさらにワンランク上の素敵なものへと、創り上げてくれるからです。
ロビーがあって、売店があって、客席上部への階段が別にあって(注:1)、それらも全て映画館の一部として、映画館の雰囲気を形作っているものだと思います。当然、もぎりのお姉さんも、その雰囲気に一役買っています。ちょっと個性的な感じの、もぎりのお姉さんは、それだけで、その劇場のイメージを盛り上げてくれていたりします。
いつもいるお姉さんが、たまたまいないと、寂しく感じます。やっぱり、この映画館は、あのお姉さんだよね。が、私には、あったりします。先日、某映画館でよく見かけるお姉さんが、別の映画館でもぎりをしてました。あれ?、映画館の雰囲気が変わっちゃうよ、と心の中で思わず、つぶやいてしまいました。
シネコンでは決して味わえないことです。来年の冬、私はきっと、浦島太郎になっているかもしれません。
(注:1) 例えば、静岡オリオン座、静岡ピカデリー、東宝会館のCINE2などですね。特に私が好きなのは東宝のCINE2の階段から上がった2階座席の前の、ちょっとした踊り場みたいな場所です。